限定正社員の必要性
「なぜ、限定正社員が必要なのか?」と言うと、次の問題を解決することができるからです。
限定正社員とは、次の社員のことを言います。
また、限定正社員は、多様な正社員、ジョブ型正社員とも呼ばれます。
- 職務が限定
- 勤務地が限定
- 勤務時間が限定(残業なし)
- 勤務時間が限定(短時間)
因みに、無限定正社員(いわゆる正社員)とは、次の社員のことを言います。
- 所定労働時間がフルタイム
- 雇用契約期間の定めがない
- 職務が無限定(契約上、決められていない)
- 転勤あり
- 時間外労働あり
- 休日労働あり
労働力不足解消への対応について
限定正社員の導入により、次の効果が期待できます。
- 限定正社員を作ることで、採用しやすくなる。
- 限定正社員を作ることで、優秀な人材が集まる。
- 女性、高齢者等、眠っている労働力を活用しやすくなる。
- 育児・介護を行っている社員の離職防止に繋がる。
- 多様な勤務形態を作ることで、満足度が上がり、離職防止に繋がる。
労働者のニーズへの対応について
次のような労働者のニーズに答えることができます。
- 育児・介護との両立
- ワークアンドバランスへの対応
- 専門分野を極めたい社員へのニーズへの対応
- 長時間働けない社員への対応
- 転勤できない社員への対応
労働者の不満の解消について
次のような労働者の不満を解消することができます。
- 同じ仕事をしているのに、男女差別がある賃金はおかしい。
- 同じ仕事をしているのに、正社員とパートで賃金が違うのはおかしい。
因みに、次の不満については、賃金制度を変えるしかありません。
- 同じ仕事をしているのに、年齢で差別されるのはおかしい。
労働契約法への対応
- 有期労働契約を結んでいる労働者が契約を更新し、次の事由に該当すると、会社は、その申し込みを承諾したものとみなさなければなりません。
- 雇用契約期間が通算5年を超えること
- 労働者から期間の定めのない契約の申し込みがあること
- この問題が発生するのは、早ければ平成30年4月1日です。
- 契約社員全員が無期転換すると、社員区分の一つである、契約社員が消滅します。
- 契約社員の多くは、フルタイムの労働者であり、基幹的な仕事をしている為、正社員と無期転換した契約社員の違いは、名称だけになってしまいます。
- 正社員と待遇が違うにも拘らず、仕事が同じ社員が存在することになります。
- この矛盾を解消する考え方こそ、限定正社員です。
パートタイム労働法への対応
- パートタイム労働法第9条では、正社員と次の内容が同じパートタイム労働者については、賃金の決定等の差別的取扱いを禁止しています。
- 職務の内容
- 人材活用の仕組み
- 中小企業の場合、人材活用の仕組みは、正社員もパートも同じ会社がほとんどです。
- 職務の内容についても、同じような仕事をしている会社がたくさんあります。
- その為、正社員とパートタイマーの違いがわからない会社がたくさんあります。
- 役割に違いがある場合は、職務の違いを明らかにし、限定正社員を導入する必要があります。
同一労働・同一賃金問題への対応
- 仕事が同じなら正社員と非正社員(派遣も含む)という考え方があります。
- 昔からある考え方ですが、大企業の場合、職務遂行能力という能力を採用している会社が多いため、職務が同じでも、同一労働・同一賃金ではありません。
- 職務が人事異動によって変わるたびに、基本給が変化すると、生活に支障が出てしまうため、職務給ではなく、職能給と言う制度を採用しているのです。
- 職務がほとんど変化しない、中小企業の場合、同一労働・同一賃金は採用しやすい考え方です。
- 年齢や勤続年数等、賃金の決定とは関係ない要素を排除して基本給を決定できるからです。
- 今後、大問題になるだろう、同一労働・同一賃金問題を避けるためにも、職務や役割の違いを明確にしておく必要があります。
現在の社員区分は、時代に合わない!
- 多くの会社は、社員を次の区分に分けています。
- 正社員
- パートタイマー
- 嘱託社員
- (契約社員)
- しかし、正社員と言っても、家庭の事情で転勤には応じられない社員もいます。
- 育児・介護の問題があり、長時間働けない労働者もいます。
- パートタイマーと言っても、次の数多くの種類のパートタイマーがいます。
- フルタイムパート
- 短時間勤務パート
- 残業・休日出勤ありのパート
- 残業・休日出勤なしのパート
- 正社員と同じ業務を行っているパート
- 補助的業務を行っているパート
- 有期雇用の契約社員といっても、実際は何回も契約を更新され、長期間働いている契約社員も沢山います。
- その為、働き方が、正社員なのかパートなのか、その中間なのか、よくわからない社員も沢山います。
- 現在の区分では、社員のニーズや労労問題に対応できないからです。
- よって、実際の働き方、ニーズに合わせて、労働者の区分を見直す必要があるのです。
導入企業は、労働条件が整備されていない!
- 実体として、限定正社員制度を導入している会社も数多くあります。
- しかし、問題は、次の点が解決されていないことです。
- 就業規則の未整備
- 雇用契約書の未整備
- 賃金制度の未整備
- 転換措置の未整備
- 未整備のままだと、必ず、問題が起きます。
貴社では、次のような経験はありませんか?
- 異動を命じたところ、経験したこともない職務に異動する社員とトラブルになった。
- 無限定正社員と限定正社員の賃金や手当が整備されておらず、たびたび、苦情が出る。
- 正社員より仕事ができるパートタイマーから、苦情が出る。
- 転換制度が未整備の為、優秀なパートタイマーが、他社へ転職してしまった。
- 転換制度が未整備の為、無限定で働いている社員が、勤務地限定で働くことができずに退職してしまった。
- 優秀な正社員(無限定)が短時間勤務制度がないため、親の介護を理由に退職してしまった。
- 優秀な正社員(無限定)が短時間勤務制度がないため、育児を理由に退職してしまった。
- いかがでしたか?
- 貴社でも、当てはまる課題があったと思います。
- 社会保険労務士多部田より、貴社に特別メッセージがあります。
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